無責任な妄言

顔の良い男を浴びるほど見ていたい

クソデカ感情が主食ならTRUMPを見てください

 

Dステ12th『TRUMP』Blu-ray
 

 

 

TRUMPという舞台作品がある。

当方は顔の良い男がクソデカ感情の狭間で死ぬ作品が大好きなので、「フランケンシュタイン」「ジキル&ハイド」といった昨今のクソデカ感情ボーイズ殺し殺されミュージカルも履修した。

それらの紹介も今世紀中にいずれするとして、まず今回はTRUMPという作品を紹介させていただきたい。

クソデカ感情男子を好まれるだろう諸姉にはそもそも紹介するまでもなくご存知かもしれないが、TRUMPとは劇団ピースピットが発表した作品である。

初演は2009年、その後も2013年(いわゆるDステ版。私はこれを視聴しました)、2015年に再演し、他にもストーリーに繋がりのある「LILIUM」「グランギニョル」など多数の作品が製作されている人気シリーズである。

ジャンルはいわゆるギムナジウムものであろうか、繭期と呼ばれる吸血種(ヴァンプ)特有の思春期を迎えた少年たちが暮らす学園「クラン」で巻き起こる友情と愛憎と悲劇の物語である。

 

主人公ソフィ・アンダーソンはヴァンプ(おおよそ吸血鬼のこと)と人間の混血であるダンピール。その忌まわしい出自ゆえクランの少年たちからは見下され、蔑まれている。しかし、ただ一人、ヴァンプの名門デリコ家の子息であるウル・デリコだけは彼を気にかけ、親しげに接してくる。そして彼はソフィにこう告げるのだ。

「僕はトランプを探している」

TRUMP、TRUE of VAMP。それはヴァンプの始祖であり創造主。永遠の命を持ち、他のヴァンプにもその不死の力を与えることができる。ウルはトランプから永遠の命を授かりたい、という願いを持っているのだ――

 

こんな話エモくないわけがないのだ。

ダンピールであるがゆえ周りに蔑まれ、短命の宿命を持ちながらも優しく気高く生きるソフィ。名門である家に縛られ悩み苦しむウル。ウルは運命に縛られるソフィに自分を重ね合わせ、「僕は君、君は僕だ」としきりに訴える……

こんなのもうあらすじだけで5000兆点である。最高。悲劇の掌で踊る少年たち! 彼らを嘲笑うかのように怒涛として訪れる悲しい運命! 最高! 最高!

さらに登場人物は彼らだけにとどまらない。ウルの兄で、苦悩する弟を守ろうとする「優秀な兄」ラファエロラファエロに嫉妬し、陥れようとする名門子息アンジェリコ、そんな彼らを斜に構えて観察する謎の転入生ガ・バンリ、人間の少女に叶わぬ恋をしてしまい、たびたびクランを抜け出す問題児アレン、そんな彼を気にかけるドジで風変わりな教師のティーチャー・クラウス……

「これ!!!!!!!!こういうのが見たかったんだよ!!!!!!!!!」

TRUMPの存在を知ったこう叫ばざるをえなかった。この濃厚なJUNE的耽美空間! 絶対バタバタ人が死ぬ! 確定的悲劇! 友情が愛憎に変わる瞬間!!!!

 

あらすじだけでエキサイトしてしまったが、大体このような作品である。

こんな王道耽美悲劇を生の人間が演じる作品として見られるのだ。耽美大好きクソデカ感情主食マンとしてこれ以上の喜びがあろうか。この為に二枚入りBlu-rayと外付けHDDを買ったがその程度の出費はもはや些末である。

さらにこの作品、なんと主演のソフィ・ウルを中心としたキャストが互いに役を入れ替えて演じる、いわゆるリバーシブルキャストを行っている。ソフィになりたいと渇望していたウルが別の公演ではソフィそのものになっているのである。オタクを殺そうとする陰謀だろうか。

吸血鬼。ギムナジウム。耽美。血の宿命。吸血によるイニシアチブ。叶わぬ恋。星に手を伸ばす。

これらのキーワードにピンとくる諸姉は是非TRUMPを見ていただきたい。そして懐に余裕があるのなら是非とも二枚組Blu-ray版を買い、TRUTH版・REVERSE版を交互に見て頭を抱えてほしい。

そしてソフィとトランプの筆舌しがたい結末に、一緒に床を転げまわってほしい。

 

 

 偉そうなことを書き連ねてしまったが、私はまだLILIUM他TRUMPシリーズ作品を未見なので、早く新作マリーゴールドに追いつきこの果てしないTRUMP坂を昇っていきたいと思う。